2014.08.08
家庭裁判所での調停や訴訟などをすることなく、夫婦間の協議で離婚をする場合、その協議内容(協議の結果)を文書の形にしておくことが望ましいといえます。
例えば、慰謝料はいくらでいつまでに支払う、とか、養育費は毎月いくらでいつまで支払うといったことです。
文書の形にしておくことで、合意内容について当事者間で共通の認識を持つことができ、後日のトラブルを回避できます。
また、万が一、離婚後にトラブルが生じても、文書の形にしておけば、離婚時の合意内容を第三者(弁護士や裁判所など)に正確に示すことができるので、トラブルの早期解決につながりやすいといえます。
この離婚協議の際に作る文書(離婚協議書)は、特に決まった書式があるわけではありません。合意内容を紙に書いて、夫婦双方が記名押印をすれば、法的な効力を持つことになります。
しかし、離婚協議書を作成して離婚したものの、約束のお金を相手が一向に支払わない、とか、最初のうちはちゃんと養育費の支払いがされていたが、途中から支払われなくなってしまったという場合、一般の離婚協議書では困ることがあります。
具体的には、相手の財産(給料など)を差し押さえようと思っても、その場合にはあらためて、金銭の支払いを目的とした裁判を起こさなければならないことです。
裁判を起こして、相手に対してお金を請求できる権利があるということを公的に認めてもらってはじめて財産の差押えができます。
ところで、離婚協議書を「公正証書」の形で作成しておくと、仮に、相手が約束したお金を支払わない場合に、裁判を起こすことなく相手の財産を差し押さえることができます。
公正証書とは、公証人が作成する公的な文書のことをいいます。公証人は、公証役場というところにいます。
公正証書を作成する場合、一般には、公正証書の中に「お金の支払義務を履行しない場合は、直ちに強制執行に服する」といった内容の執行認諾文言が盛り込まれます。
そうすると、裁判を起こさずとも、相手の財産を差し押さえることができます。
これが、離婚協議書を公正証書にするメリットの1つです。
夫婦間で協議し合意ができれば、その合意内容を公証人に示せば、多くの場合、公証人が公正証書の原案を作成してくれると思います。
ただ、公証人は、夫婦どちらか一方の味方をするというわけではないので、合意内容が自分にとって有利かどうかなどはご自身で判断しなければなりません。
横浜・関内で、離婚問題でお悩みの方、公正証書作成に関する手続も含めて、一度、弁護士による離婚法律相談を受けることをお勧めします。